正月に七草粥を食べることから「春の七草」は有名ですが、
春だけでなく秋にも「秋の七草」と呼ばれるものがあることはご存知でしょうか?
今回は「秋の七草」について
どんな由来があり、春の七草との違いはなにか、などお話したいと思います。
秋の七草に順番があるの?
秋の七草は「万葉集」で山上憶良が詠んだ歌が元になっています。
秋野尓 咲有花乎 指折 可伎數者 七種花
芽之花 乎花葛花 瞿麦之花 姫部志 又藤袴 朝皃之花
という歌ですね。
これらは秋に咲く花の代表的なものを挙げており、
そのために秋の七草と呼ばれています。
基本的には「秋の七草」に順番はありませんが、
歌の順に挙げるのが一般的となっています。
順にあげると、
- 萩(はぎ)
- 尾花(おばな)→すすき
- 葛(くず)
- 撫子(なでしこ)
- 女郎花(おみなえし)
- 藤袴(ふじばかま)
- 朝貌(あさがお)
となります。
ちなみに朝貌は
「むくげ」、「桔梗(ききょう)」、「昼顔(ひるがお)」
とする説もあります。
ただこれでは覚えにくい、ということで
七草の順番を並び替えることで様々な覚えやすい覚え方が伝えられています。
たとえば、
「お」みなえし(女郎花)
「す」すき(尾花)
「き」きょう(桔梗)
「な」でしこ(撫子)
「ふ」じばかま(藤袴)
「く」ず(葛)
「は」ぎ(萩)
このように並べて、「お好きな服は?」とするものです。
これ以外では、
「は」ぎ(萩)
「す」すき(尾花)
「き」きょう(桔梗)
|
「な」でしこ(撫子)
「お」みなえし(女郎花)
「ふ」じばかま(藤袴)
「く」ず(葛)
ろ
として「ハスキーなおふくろ」とするものや、
「ふ」じばかま(藤袴)
「な」でしこ(撫子)
「お」みなえし(女郎花)
「く」ず(葛)
ん
「は」ぎ(萩)
「す」すき(尾花)
「き」きょう(桔梗)
として「ふなおくんは好き」とするものもあります。
個人的には最初の「お好きな服は?」が一番覚えやすいと思っています。
また、「五・七・五・七・七」のリズムに合わせたものもあります。
(五)はぎ・ききょう
(七)くず・ふじばかま
(五)おみなえし
(七)おばな・なでしこ
(七)あきのななくさ
子供が覚えやすいように、と多くの覚え方が編み出されています。
厳格な決まりとして順番が決まっているわけではないので、
元の並びを頭の片隅に留め置いて、
覚えやすいもので覚えるのが良いでしょう。
秋の七草にはどんな意味があるの?
先に秋の七草は万葉集で山上憶良が歌ったものとは触れましたが、
その歌の意味は、
原文
秋野尓 咲有花乎 指折 可伎數者 七種花
芽之花 乎花葛花 瞿麦之花 姫部志 又藤袴 朝皃之花
意味
秋の野に咲いている花を、指折り数えてみると、七種類の花があります
萩の花、尾花、葛花、撫子の花、おみなえし、また藤袴、朝貌の花
となります。
ちなみにそれぞれの花の意味は、次のようになります。
萩
内気、前向きな恋
尾花(すすき)
生命力、活力
葛
活力、治癒
撫子
純愛、大胆
女郎花
はかない恋、親切、忍耐
藤袴
躊躇い
朝貌(桔梗)
誠実、気品、清楚
この中で「萩と桔梗」は「萩や桔梗のような秋の花々」という意味で、
「歌語」として和歌、俳句でよく読まれます。
春の七草と秋の七草の違いって何?
春の七草は、その一つ一つに効能があります。
「せり」食欲増進、解熱、解毒
「なずな(ぺんぺん草)」止血、解熱、血圧抑制
「ごぎょう」咳止め
「はこべら」抗菌、消炎
「ほとけのざ」喉の痛み止め
「すずな(かぶ)」胃弱
「すずしろ(だいこん)」消化促進
そのため正月で弱った胃を労わるためにも、粥にして食べますが、
秋の七草は食べるものではありません。
「春の七草は食べて楽しみ、秋の七草は花を見て楽しむ」とされており、
秋に咲く代表的な花を挙げた観賞用としての意味合いが強いものです。
ただ、秋の七草のひとつである葛は食用にすることができるので、
一部は「食べて楽しむ」こともできます。
秋の七草のまとめ
秋の七草は春の七草と対になるものとして
粥で食べられるイメージを持たれますが、
実際には秋の代表的な植物を挙げたものです。
食べるものではありませんので粥にしてしまわないように気を付けましょう。
覚えやすい言い回しなど色々伝えられているので、
子供と一緒に言い合って覚えるのも楽しそうですね。