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雛人形のお内裏様とお雛様の意味って?左右どっちが正しい?登場人物は?

雛人形のお内裏様とお雛様の意味って?左右どっちが正しい?登場人物は?

かつては女性の嫁入り道具の一つ、とも言われた「雛人形」

過去をさかのぼれば、
元々女性の厄払いとして行われていた行事です。

それがなぜ現在のように男女一対で飾るようになったのか、
なんだか不思議ですよね。

それに雛人形は種類もたくさんありますが、いずれも華やかで豪華です。

どんな設定で作られているのか
気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回はどうして雛人形が現在のような形になったのか、
お内裏様とお雛様の意味や雛人形に登場する人物をご紹介したいと思います。

 

 

雛人形のお内裏様とお雛様にはどんな意味があるの?

現在の雛人形と昔の雛人形は違います

雛人形はもともと、
平安時代に貴族の姫君がお人形ごっこするときのお人形でした。
この人形遊びは
「小さい」「かわいらしい」という意味のある「ひいな遊び」と呼び、
女の子にとって普段遊びの一つで特別なイベントではありませんでした。

今でいえばリカちゃん人形やダービー人形みたいなものですね。

そして平安時代には「天児(アマガツ)」「這子(ホウコ)」と呼ばれる、
幼児に対して形代の役目を果たすものがありました。

天児は幼児の守りとして枕元に置く形代の一種で、
幼児の病気や穢れを移しかえ、無事な成長を祈るものでした。

這子も天児と同じような目的で幼児の枕元に置かれるものです。
ぬいぐるみの原型ともいわれ、綿を詰めた顔のない人形のようなもので、
飛騨高山で有名な「猿ぼぼ」は這子が元になっています。。

天児と這子は初め貴族間で行なわれていました。
それが江戸時代になると多くの人々に伝わり、
「天児を男の子」、「這子を女の子」に見立てて飾るようになりました。

やがてこれが「ひいな遊び」の人形と結びつき、
3月の節句として行われる「流し雛」の行事と合わさって
「天児を男雛」、「這子を女雛」とみなし
男女一対の人形を飾る現在の雛人形へと変わっていきました。

流し雛は穢れを持つ女性の厄払いとして
身代わりに簡素な人形を川に流すものです。

一対で飾ることから、夫婦和合や子孫繁栄などの意味合いを込め、
嫁入り道具の一つともとられるようになりました。

そのため、本来の流し雛は女性の身代わりである人形だけを流しましたが、
セットになっていることに意味があるので必ず対になるようにされました。

 

お内裏様とお雛様は天皇家を表している!?

男女一対になっている雛人形ですが、衣装や飾りがとても豪華ですよね。
普段遊びで使えるものとは思えません。

なぜそんなに煌びやかなのかというと、
お内裏様は「天皇」、お雛様は「皇后」を意味しているからなんです。

お内裏様の「内裏」は皇居・宮中を、「お内裏様」は天皇を表す呼び名です。

皇居・宮中を表しているのに平凡では・・・ということで華やかなんですね。

ちなみに「お内裏様」は、雛人形の場合「殿と姫の両方」を表します。
一方の「お雛様」も「殿と姫の両方」、一対の事を表すので、
実は「お内裏様とお雛様」と意味合いは被っていたりします。

 

雛人形は左右どっちに置くのが正しいの?

男雛と女雛が並んで飾られているのを見ると、
男雛が左側のときもあれば、右側のときもあります。

並び方は適当でいいのか?を首をかしげたくなってしまいますが、
そこにも意味があります。

元々は自分から見たとき「左に女雛、右に男雛」で並べました。

これは「天子南面」という中国の思想の影響で、
南に向いたときに日の出の方角(東=左)が上座、
日没の方角(西=右)が下座としてきたため、
雛人形もそれに沿って置かれていたんですね。

ですが、明治維新以降に西欧式の礼法が取り入れられ、
昭和天皇が即位式のときに「右を上座」とする洋式で並ばれたことで、
関東を拠点に新しい並び方が全国に普及し、
現在のように「左に男雛、右に女雛」で並べるようになりました。

ただこの新しい形式は
 天皇は洋装だから「右を上座」とする様式になったが、
 昔からある「左を上座」にする日本の様式を尊重すべき
と反対する京都では受け入れられませんでした。

また、江戸時代などの古い雛人形は
当時の配置のままで飾るのが本来の姿という考え方から、
京雛や古い雛人形は古式で、
それ以外の雛人形は新式
で飾るように分かれたんですね。

ちなみに七段飾りにおける随身(左大臣・右大臣)は、
上座を右に配置する昔ながらの飾り方となっています。

雛人形の登場人物ってどんな人がいるの?

雛人形は雛壇の数によって人数が変わります。
ここでは七段飾りで登場する代表的な雛人形をご紹介します。

 

親王

最上段に飾られるお内裏様(男雛)とお雛様(女雛)です。
それぞれ天皇と皇后を表します。

 

三人官女

二段目に飾られる三人の女性人形です。
宮中に仕える女官を表します。

三人の内、一人は「お歯黒」「眉無し」になります。
「お歯黒」「眉無し」は既婚者を意味するものですが、
女官は独身なので、年長者という意味合いで使われているものとされています。

 

五人囃子

三段目に飾られる五人の男性人形です。
能のお囃子を奏でる楽人を表します。
それぞれ「太鼓」「大鼓」「小鼓」「笛」「謡」の奏者です。

ちなみに、能囃子ではなく雅楽の場合もあります。

 

随身(ズイジン)

四段目に飾られる男性人形です。

随臣右大臣と左大臣を表します。
この二人は狼藉者を追い払う衛士(エジ)でもあります。

おじいちゃんが左大臣で上座である右に、
若者が右大臣で左に置かれます。

 

仕丁

5段目に飾られる三人の男性人形です。

基本的に3人1組で、従者を表します。

 

段数が増えたり、豪華なものではこれ以外に、

  • 三歌人(柿本人麻呂、小野小町、菅原道真)
  • 能の鶴亀
  • 稚児2名

などが置かれる場合もあります。

 

雛人形のまとめ

雛人形のルーツをたどると
過去の歴史と関係するところもあって面白いですよね。

雛人形は「ひなまつり」の歌にもあるように、
基本的に人形は皆すまし顔で感情が表れていません。

小さい頃は「怖いな~」なんて思ったものですが、
これも皇居・宮中を表すために、
「公人は公的な場ではすまし顔をしなければならない」
ことが影響していると知って納得したものです。

意味を知るとそれまで漠然と見ていた雛人形の見方も変わると思います。
雛人形を飾るときはぜひ思い出してみてくださいね。