以前は、結婚指輪をはじめとした指輪素材の王道といえば
金や白金、銀が一般的ですが、
最近では色鮮やかで美しく発色するジルコニウムの指輪も
注目を浴びています。
ですが、ゴールドやシルバー、プラチナで作られた指輪はよく耳にしても
ジルコニウムの指輪は本当にここ数十年で作られるようになったものなので、
まだまだ知らない人も多く、
などなど不安に思う方も少なくありません。
そこで今回はジルコニウムで作った指輪の危険性と
欠点やデメリットについてお話しします。
ちなみに結論だけ先に言いますと、
ジルコニウム製の指輪は他のものに比べて
金属アレルギーが起きにくいメリットがある一方、
デメリットには
といった欠点がありますが、
逆にこれらに十分注意していれば安心して身に着けることができるので、
敏感肌の方に大変好まれている指輪です。
ではジルコニウムの指輪の危険性などを
詳しくお話ししていきます。
ジルコニウムの指輪は危険?
金属アレルギーや接触性皮膚炎などアレルギーを持っている方や敏感肌の方でも
安心して身に着けられる指輪として、
ジルコニウムが注目を浴びていますが、
聞きなれない方もまだまだ多い金属素材なので、
初めて耳にする人にとっては健康被害など危険がないのか不安ですよね。
ジルコニウムといえばその鮮やかで美しいカラフルな見た目が特徴的で、
きれいだと思う一方、
「そんな発色のものを身に着けて体に害はないの?」
と気になっている方もいらっしゃると思います。
ですが安心してください。
ジルコニウムの特徴といえる発色は加熱加工において生じたもので、
放射性物質など危険なものではありません。
ジルコニウムはチタンの仲間の一種で、
安心して使える金属です。
チタンと同様に、
空気中で酸化皮膜をつくるので酸やアルカリで溶けることはなく、
海水や汗、温泉・入浴剤の入ったお風呂などに触れても
腐食などの心配はありません。
また、溶けないからこそ、金属成分を体内に吸収することもないので
アレルギーが起こる不安もありません。
金属アレルギーが起きにくい素材としてステンレスやタングステンもありますが、
こちらは非常時に指輪の切断が困難という危険があります。
一方でジルコニウムは、プラチナより硬くて丈夫とは言うものの、
非常時にはニッパーなどで切ることができるので、
何かあったときに指輪を外せなくなる危険もありません。
他の金属アレルギーを起こしにくい素材の中でも、
非常に安心して使える金属です。
ジルコニウム指輪の欠点やデメリットは?傷やサイズ直しはどうなる?
危険性のないジルコニウムですが、
欠点やデメリットは存在します。
大きく分けると5つあります。
- サイズ直しがしづらい
- 取り扱い店舗が限られる
- 価格が高い
- デザインが制限される
- チタンなど軽量金属に比べて重い
それぞれ詳しく述べます。
サイズ直しがしづらい
ジルコニウムは硬くて丈夫であるメリットがある一方、
その硬さが仇となって加工しづらい面があります。
また溶接やロウ付けが難しいので、
指輪のデザインによってはサイズ直しの鍛造加工に耐えられない場合があり、
サイズの修正加工に対応できないことがあります。
デザイン上加工が可能であったとしても
歪みができてデザインが崩れてしまう可能性があり、
別の素材と組み合わせて作られた指輪では、
まずサイズ調整が困難なケースが多いです。
基本的にはサイズ修正はほぼできないと考えておいた方が良いでしょう。
(ただ±0.5号程度ならOKというところはあります)
購入店舗の方であらかじめサイズ修正可能なデザインだと
提示して対応しているケースもありますので、
場合によっては対応可能な場合もあります。
これから購入する方は、
・どのサイズまで直しができるのか?
そのあたりを確認してから買うといいと思います。
取り扱い店舗が限られる
ジルコニウムは主に医療や工業で使われることが多く、
ゴールドやシルバー、プラチナなどに比べて
アクセサリー関連にはあまり流通していません。
そのため取り扱いしているショップも少なく、
購入できる場所が限られるといったデメリットがあります。
価格が高い
結婚指輪やアクセサリーとして広く普及している金や銀などに比べると、
一般的なマリッジ素材より割高になります。
ジルコニウムの素材自体はプラチナより安いのですが、
ゴールドやシルバーなどは指輪に使う分だけ素材を確保すればいいものの、
ジルコニウムは塊から削っていき、カットして指輪を作るので、
塊の分の素材代が必要になるため高価となります。
また、指輪を作るためにカットしている点も、
熔かした金属を流し込んで大量生産して原価を抑えている金や銀より
手間がかかっているので加工賃も高くなり、
結局は一般的な結婚指輪の相場とあまり変わらない価格となります。
相場は10万円から15万円が一般的です。
デザインが制限される
型に液体金属を流し込んで指輪を作る金や銀とは異なり、
ジルコニウムは塊からカットして指輪を作るため、
凝った作りのデザインは製作が難しくなります。
また、ジルコニウムはロウ付けができないため、
指輪に宝石を埋め込むようなデザインも制限されます。
基本的に小さい宝石を埋め込むミル打ち・ミルグレインは問題ありませんが、
石を爪で留めるタイプのソリティアリングのようなデザインは対応できません。
チタンなど軽量金属に比べて重い
金属アレルギーフリーのチタンは非常に軽いことも知られていますが、
それに比べるとジルコニウムは3倍の重さがあります。
こう書くととても重いように感じますが、
一般的な結婚指輪のプラチナとチタン・ジルコニウムをそれぞれ比べたとき、
- チタン 1/4
- ジルコニウム 1/3
となりますので、
軽量金属であるチタンよりは重いですが、
プラチナよりは軽い重さとなります。
ただプラチナなどの金属で作る指輪は幅広デザインにすると
指輪が重すぎて不向きと言われているため、
ジルコニウムなら幅広デザインにしても重すぎるということはなく、
プラチナより幅広デザインの種類を選べるというメリットともいえます。
ジルコニウムの指輪はどんな色?黒も可能?
ジルコニウムは発色の美しさも選ばれるポイントの一つで、
他の金属に比べて様々な色合いの指輪を選ぶことができます。
大きく分けると、次の3種類になります。
- 発色の指輪
- 白色の指輪
- 黒色の指輪
発色の指輪
ジルコニウムといえばその美しい発色が特徴的ですが、
それを活かした他にはない指輪のデザインも豊富です。
ただ、他の指輪には無い加工となるため、
手間も増えるためやや高価となります。
また、デメリットとして発色加工が永続しないことも特徴です。
というのも、この発色はジルコニウム自体の性質によるものなので、
塗装ではないため摩擦によって色落ちします。
基本的にはジルコニウム自体が非常に硬いので、
簡単にはキズつくことはなく、摩擦で発色が取れることもないのですが、
常に身に着けていると日常生活における摩擦でゆっくり色落ちしていきます。
化粧品(ファンデーション)が付着してもその摩擦で擦れていくので、
女性の場合は更に発色は落ちやすいです。
そのため、環境によって異なりますが、
発色の耐久性は大体3年~5年といわれています。
ただ、色落ちした場合、改めて発色加工を行うことも可能ですので、
そのときどきで色を変えて楽しんでいる方もいます。
ちなみにジルコニウムの発色は
塗装ではないこと、紫外線劣化がないことから、
身につけずに飾っておくと発色はその当時のままを保つことができます。
白色の指輪
ジルコニウムは発色加工しなければ白色の指輪で作ることも可能です。
ただ、金属自体の色が少し暗めの色なので、
プラチナに比べるとやや白みは及びません。
黒色の指輪
最近では黒い指輪を選ぶ方も増えてきました。
ジルコニウムは発色のきれいさが目立ちますが、
ジルコニウムの酸化によって黒い指輪を作ることも可能です。
酸化ジルコニウムの黒い皮膜は、硬くて耐久性が高く、
使い方や環境にもよりますが、
大体数十年程度は黒いままだといわれています。
タンタルも黒い指輪が作ることができますが、
より色が黒く、コストも抑えられる点からジルコニウムの方が人気です。
ちなみに黒色と発色を組み合わせたデザインの指輪も好評ですが、
発色を組み合わせた場合の再加工は受け入れないショップもあるので
作る前に確認をおすすめします。
ジルコニウム指輪の価値は?値段はどれくらい?
ジルコニウムの指輪のデメリットでも触れていますが、
金や銀などに比べると購入価格はやや高価になります。
相場としては大体10~15万円です。
これは製造コストによるもので、
素材自体の価値でいうと金や銀、プラチナには遠く及びません。
昔はなにかあれば指輪を質に入れて換金できるように
ゴールドやシルバーを選ぶといわれてきました。
ジルコニウムの場合は素材自体が安いため、
そもそも質に入れようにも買い取ってもらえず、
貴金属としての価値はありません。
基本的にはジルコニウムで結婚指輪を作る方は、
貴金属としての価値より、
金属アレルギーが起こらない指輪であることや、
発色のきれいさを重視していますので、
素材自体の価値を重視する方にはお勧めできません。
ジルコニウム指輪の手入れはどうする?
ジルコニウムの指輪の手入れは他の指輪と同様に、
柔らかい布などで拭いて、付着した皮脂や化粧品を落とします。
更にしっかり汚れを落としたいときは、
ぬるま湯に数滴の中性洗剤を入れ、しばらく浸け置きします。
数分後に指輪を取り出して、水道水で洗剤を洗い流します。
洗った後は布やティッシュで水分をしっかりふき取って終わりです。
ちなみに研磨剤入りのクロスを使うと、
ジルコニウムの特徴である金属表面の被膜が削られてしまい、
発色が落ちやすくなってしまいますので注意が必要です。
ジルコニウム指輪のまとめ
ジルコニウムの指輪はここ数十年で普及してきた新しい指輪なので、
その危険性について不安に感じている方は少なくありませんが、
実際には金属アレルギーや敏感肌の方でも安心して身に着けられる金属です。
また他の金属にはない美しい発色で、
指輪のカラーバリエーションを楽しむことができるので、
若い夫婦にも非常に好まれている指輪です。
複雑なデザインとなると価格も高くなってしまいますが、
シンプルなデザインであればコストも抑えられるので、
結婚指輪に限らず、普段使いの指輪としてでも、
興味のある方は取り扱い店舗も一度見てみるのも良いと思います。
身に着けて大丈夫なのか?
なんの危険性もないのか?
健康への影響などデメリットはないのか?